Miyape ban 01.jpg

巻貝形土器

提供:ミヤペディア
移動: 案内, 検索

大英博物館でも展示された近内中村遺跡の巻貝形土器

宮古市内には470ヵ所の遺跡がある。それらは数千年前の縄文時代のものから、千年ほど前の平安時代、500年前の中世の館跡、そして新しいものでは江戸時代の遺跡がある。平成7年近内中村・縄文時代後期(約4000~3000年前)の遺構から全国的にも珍しい巻き貝形土器が出土した。この土器がどのぐらい珍しいかと言うと国の重要文化財となっている新潟県上山遺跡の縄文後期の層から昭和36年(1961)に出土した巻き貝形土器と、巻方が左右対称なことを除いて瓜ふたつなのである。巻き貝形土器は通常の暮らしに使われた器ではなく、何らかの儀式に使われたものと考えられ、新潟上山遺跡に続いて昭和41年(1966)に宮城県伊具郡岩ノ入遺跡で出土したものと、この近内の3点しか出土例はない。 他県の遺跡では雑多な土器郡と混じり合って破損して発見されているが、近内では竪穴式住居跡から猪の土製品などと一緒にほぼ完形品として発見されている。巻き貝形土器は全長23.5センチ、幅11.5センチ、重さは370グラム。濃い褐色で全体にイボ状の突起やらせん模様がある。関東方面に生息するボラ科の貝をかたどったとみられるが、巻き型は実際のものと逆の左巻きである。近内から巻き貝形土器が発見されたということは、はるか昔の縄文時代に新潟県で発見された物と同一の制作者が流れきたのか、あるいは製品として同じ物が交易品として流通したのかいずれにせよ縄文時代の何かをつないでいた架け橋があったという物的証拠でもあり、この近内の巻き貝形土器は、国の重要文化財の土器と従兄弟的な物品であることは間違いないと言える貴重なものである。

表示
個人用ツール